週末にチャレンジ富士五湖マラソンという、今年25周年を迎える大会に出場しました。4500人を超える参加登録者を誇る、国内屈指のウルトラマラソンの大会とのことです。今回、フルマラソンを超える距離を走るのは初めてでしたが、参加したきっかけは年始の同級生との酒席での他愛のないやりとりでした。その場にいた友人たちが日ごろから長距離や山中を走るトレイルランを趣味としていたことから、近々登録可能な大会の話になり、118㎞、100㎞、71㎞の3種類のうち、まだ受付中の71㎞であれば、初心者の私も行けるのではないか、という流れになりました。少しアルコールも入っていたこともあり、その場で申し込みを済ませてしまいました。
申し込み後、大会に出場することは頭の片隅にはあったのですが、実際には日々の生活習慣を変えたわけではなく、ほとんどと言ってよいほど準備を出来ないでいました。事実、今年に入ってからの総走行距離は、60-70㎞だったと思います。例年に比べても全然走れていない状態でした。そのため、大会参加直前まで、ウルトラマラソンの大会に参加する実感はほとんど持てずにいました。前日は、きっかけとなった同級生5人で前泊することになり、忍野八海近くの宿にお世話になりました。余談ですが、忍野八海の桜は今が見ごろで、それは見事な咲きぶりでした。そのせいか、観光客で溢れていましたが、そのほとんどが中国人観光客で、お土産屋さんの店員も一生懸命中国語での対応をしていました。お土産のわさびを100箱近く買っている爆買いもみかけました。
当日、118㎞に参加する友人のスタート時間が午前4時ということもあり、午前2時起床で宿での朝食をとり、4月中旬とはいえ零下1度の寒い空気の中、大会会場に向かいました。71㎞の私のスタートは午前7時ということもあり、先にスタートする友人達を見送った後、荷物を預ける体育館で暖をとりながら時間を潰しました。ここで初めて自分も未知の距離を走るという実感が湧いてきました。いよいよ、スタートが近づき、トイレを済ませて競技場で体をほぐします。何しろ、長旅ですので、最初から飛ばすのは禁物です。フルマラソンを走るペースよりもだいぶゆっくり走ることを心がけようと思っていました。スタートです。すごい勢いで走っていく先頭の人たちを見ながら、自分のペースに近い人を探しました。
スタート、ゴール地点の富士北麓公園は、標高が高く、スタートからは下りが続きます。体もほぐれてくるにつれて、ややスピードが上がってしまいます。更に、ペースメーカーとして目を付けた先行の方々はベテランのようでしたが、私の目論見よりはペースがはやく、最初の10㎞は思っていたよりも早いペースになってしまいました。河口湖を巡り、西湖に差し掛かるころに20㎞を超えました。ここで、足がすでに疲れ始めてきました。ここからは登りも増えてきます。この大会は素晴らしく整備されており、4-5㎞おきにしっかりとエイド・ステーションがあり、飲み物やバナナなどの補給を出来るので、安心です。しかし、30㎞を目前に急坂に差し掛かり、すでに足が限界に達してきました。膝の内側や太もも、ふくらはぎなども攣りはじめています。アミノ酸を中心に補給を切らさないようにしながら、ペースを変えずに走ります。西湖から精進湖に向かうアップダウンをこなして、フルマラソンの距離にある42㎞地点のエイド・ステーションを目指します。ここまで、スタート当初に頭の中に描いていたペースで来ることができました。まだ行けそうです。ここで、100㎞を走っている友人2人とすれ違いました。良いペースです。
精進湖を周り、西湖に戻るところで、50㎞を超えました。ここで、当然ですが練習不足のつけが出てきました。足は上がらず、痛みがひどくなり、攣りもひどくなってきます。60㎞に到達したところで、登りがきつくなってきました。最後の5㎞にはコース中でも一番の急坂が待ち受けているのは、最初に下った道を戻るので、容易に想像できてしまいます。一歩、一歩前に進むしかありません。だいぶペースも遅くなったので、周りの景色を見る余裕も出てきました。幸い、まだ明るく、最後の2-3㎞は周囲の景色を楽しむことができました。ゴール後、豚汁をいただき、100㎞、118㎞を終えて戻ってくる友人達を待ちます。幸い、皆好タイムで無事に戻ってきました。体力は限界で、体温も下がり、動くのもままならない状態です。大会後、宿に戻り、皆ロボットのような動きでしたが、完走の達成感を共有できるのは素晴らしい感動体験でした。しかし、寝ることもままならない痛みの中で、二度とこんなに辛い思いはしたくないとも感じました。
数日が経ち、筋肉痛や疲れもとれはじめ、生々しい痛みの記憶も薄れるにつれ、次はどんなチャレンジをしてみようかな、と考え始めています。経験して初めて日本でウルトラマラソン人口が増加している理由がわかったような気がします。