あいざわアセットマネジメント株式会社役職員ブログ

第127回 < 香港・スイス・アメリカ出張報告 (1) >

1月早々、アジア・欧州・米国の世界一周出張に来ています。気温差の大きいことを想像して、持ってくる服にも気を遣ったのですが、思いのほか香港が寒く、最低気温が5度を割るという日もありました。その後に移動した先のスイスは雪でしたが、1月は例年になく暖かく、地元の人はスキー場の雪不足を心配していました。一方、シカゴはマイナス15度、5分の徒歩移動でも寒さが堪えました。いずれにしても総じて寒く、北半球中心でさほど服装を変える必要がないので有難いと思っています。

今回、香港では、JETRO(日本貿易振興機構)と経済産業省が企画したイベントに参加しました。内容は、日本のファンド運用会社から有志を募り、香港を中心とするアジア地域の金融関係者が約2,000名集まるアジア・ファイナンシャル・フォーラムへの参加と現地でのビジネス・マッチングを行うものでした。中国のゲートウェイとしての香港の熱気を再確認するイベントでしたが、日本からの参加者であるわれわれも、何とか日本発のファンド・ビジネスをアジアの投資家に売り込もうと2日間で数多くの投資家候補とミーティングを重ねました。多くの投資家の方と会ってみて、ここ数年間中国をはじめとした新興国に目を向けて実際に投資を行ってきた投資家が、多少ではあるものの投資対象としての日本に興味を持ち始めているという印象を受けました。もっとも、実際に資金が日本に流れ込むという勢いは未だに感じられず、あくまで、興味はある、という程度の感触でした。

米国や欧州を拠点とする大手の投資家が、香港に支店を置いて人を配置し、中国をはじめとするアジアへの投資機会を本格的に探っています。このこと自体は前からあったことかとは思いますが、今回のミーティングを通じて、日本が、アジアのその他大勢という位置に急速になりつつあるという印象も受けました。「アジアの時代」が再来する中、経済、文化の面で日本がアジアの中の相応のポジションを維持するためには、これから様々な工夫と努力をする必要があることを強く意識させられる機会でした。今回の日本からの随行員は主に、ベンチャー企業投資や買収を通じて未公開株投資を行うようなファンドの運用者でしたが、投資家候補の皆さんとの話を聞いていると、中国をはじめとするアジア市場をいかに絡めたビジネスが出来ているかが彼らの興味をひきつける鍵になっていました。

今回、2,000名以上の参加者を数えたといわれる会議の協賛団体の一つに、筆者も日本支部で役員を務めるヘッジファンド関連の業界団体である、AIMA(https://www.aima.org/global-network/apac/japan.html)の香港支部がありました。会議終了後、次の目的地となるスイスへの深夜フライト直前にはこちらのカクテルレセプションに参加しました。ここでも、活気のある会が催され、AIMA会員を中心に活発に情報交換がなされていました。

2011年は、新興国がこれまでのような一本調子の成長や資金流入に沸くというよりは、持続的な成長を意識し、海外からの急速な資金流入や国内投資家のリスクテイク志向にどのように歯止めをかけるかを考えるステージに入ってきていると思います。政府当局レベルでのこのような試みが簡単に効くことがないのは、日本を含めた先進国の事例を見れば明らかなのですが、ブレーキをかけきれずに投資が暴走気味になるか、あるいは成長に冷や水をかける状態になるかはまだ見えてきません。今回のような機会を捉えて、現地で政府関連組織、機関投資家、運用会社担当者、個人とのこまめな情報交換を行うことで、少しでも早く変化の予兆を捉えていきたいと考えています。

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