私が住む浅草も、9月に入るとさほど何か大きなイベントごと、と言うのが最近では思い付かないのですが、まぁ、こういう時期ですのであったところで最終的には延期とかキャンセルとかになり、助成金を受けながら強行するとなかなか社会の目が厳しい、って、いや私、あの(ってどの?いや、聞かないでくださいね。要はあの、ですからね、あの)イベントに関して開催するしない、出演するしない、観に行く行かない、でいろんなところで色々と議論があったなんて知りませんし、このところの投資案件を含めた諸々の件で社長にこき使われていてイベント自体すっかり忘れていたので、とやかく言う予定も準備も根性もございませんので石を投げないでくださいね。ただでさえ去年の第2四半期ごろにリモートワークの設定をしてみんなのWFHを実現するために出社しながら #みやたべろぐ やってて結構痛い巨大な岩石がバンバン飛んできて心も休まらなくなって中断を決断して涙を流す日々を。。。いえ、ただ単に仕事が忙しいだけでした。
と言う中でこの記事の発表する2日後には、オリンピックの最終日を飾るマラソンは札幌に行っちゃいましたが、同じマラソンとはいえ、パラリンピックの最終日を飾る車いすマラソンなどは浅草にもやってきます。これのおかげでチケットを予約することもなければ予約が無観客でふいになる、なんてこともなく心穏やかに(しかもただで、自宅からちょっと歩いたところで)みられる!なんて思ってましたけど、自宅でテレビで見ている方が気楽でいいですよね。しかも朝早いし。出かけたなんていって石を投げられることもないし。
ということで、投げられない石のご紹介 in 浅草
なんて思うと、イベントとは関係なく、人のいなさそうなところで、人の注目しなさそうなものを見る方が良さそうで、かつ出かけたとしても石を投げられるリスクもないなんて思えてきますが、そこでふと、ここでお勧めしても石を投げられる代わりとして、石を見にいくと言うのをお勧めしようと思います。しかも、浅草で。
で、もう一つお勧めしたいのが、この暑い時期に日差しから逃れる、と言う意味でもお勧めなのが、浅草神社の中にある、「こちら葛飾区亀有公園前派出所前・記念碑」です。石でも石像、ではなく石碑なのですが、「こちら葛飾区亀有公園前派出所前」略してこち亀、といえば私のようなジャンプで育った世代には一発でわかるご長寿漫画でしたが、タイトルが葛飾区亀有なのに、なぜ浅草に、と思う方、全巻(200巻で2021年10月になんと201巻が発売予定!)買って読んでみてください。第一巻なんてみんなの知っている主人公ととは似ても似つかぬ別人の顔ですから、と言うのはさておき、この主人公の両津勘吉というのはざっくりいえば、ギャンブル好きの遊びの天才、そのくせ柔道もめっぽう強いのに、仕事はのんびり、と言う職場が葛飾区の亀有公園前派出所という架空の公園の前の交番のお巡りさん、なのですが、この主人公は生まれも育ちも浅草、子供のことから浅草寺から浅草の裏路地でヤンチャをしまくり、小学校高学年に親の自転車を乗り回すと、行動範囲が足立の千住にあったおばけ煙突(って知ってますか?私の生まれたことにはもうなくなってますが。。。)のあたりから荒川沿いに墨田区の先まで広がり、中学や高校になってもヤンチャが止まらず警察にも顔見知り、ってことで、このままじゃ道を踏み外したら大変、むしろ警察の監視下に置こうってことで警察にスカウトされて高校卒業直後から警察で働いている、なんて生い立ちなものですから、エピソードで幼馴染と子供の頃に浅草寺に大事なものを埋めてタイムカプセルにしたのを掘り出してみたらベーゴマが出てきて、なんてのもあり、1億3000万冊の単行本発行記念の碑が浅草の、タイムカプセルが埋められたかもしれない浅草神社に置かれた、と言うわけです。
これが置かれた2005年あたりとか、近くにあった我が土産物屋には、こち亀の記念碑ってどこ、なんて聞く人も少なくなかったのですが、どう言うわけか、その流れでか、「柴又ってここから歩いてどれくらい?」なんて軽く散歩でいけるかの如く聞く人も多かったのを覚えています。今でこそ、うちの店からはまっすぐに聳え立つ東京スカイツリーが見えますので歩いていけるんじゃ、なんて歩く人たちも多いのですが、都内のひと駅の感覚とはいえ、ちょっと遠回りした橋で川を渡ってざっくり2キロ弱ですので、あの大きな建物の見た目で遠近感が狂うんでしょうかね。
でも、それ以上に、浅草となんとなく似たような街並みの、寅さんの世界の柴又、こち亀でも当然同じ葛飾区、と言うことで何度も取り上げられているのもあり、近くに思うんでしょうね。でも、柴又といえばすぐそばに歌にも唄われた矢切の渡しなんてのがありまして、渡し舟で江戸川を渡ると向こうは千葉の松戸ですよ。それに比べて、浅草から橋を渡ってもスカイツリーのある墨田区で、そのずいぶん先に葛飾区がありますので。。。電車で行くことだけをお勧めしました。
ファンドの世界で似ても似つかぬもの、というと
さて、似て非なる、なんてのはファンドの世界にも、当然ありまして、最近身近になったものですと、クラウドレンディングで不動産や事業に貸し付けることで銀行の定期預金よりいい投資が期待できる、と言うことでされている方が目にするのが「匿名組合」と言うものでしょうか。
また、バイアウトファンドやベンチャーキャピタルファンドが国内で投資家を募って国内の企業に投資するときに使うものといえば「投資事業有限責任組合」なんてものがあり、これをもし海外の企業に投資することが多い場合には「任意組合」なんてのを使う、なんてのはプライベート資産の投資をする時にあちこちで、「ねぇ、結局何にどれだけ投資する予定なのよ?どうよ?」なんて話をするとついてまわるどっちにする問題、とも知られています。
さらにいえば、世の中には「有限責任組合」なんて、あれ、どこかでみたような字面だけど違うの?なんていう組合もあり、世の中にはよく知られた「大学生協(生活協同組合)」や「農協(農業協同組合)」や「漁協(漁業協同組合)」や「信組(信用協同組合)」、「労働組合」に「健保(健康保険組合)」、果ては「マンションの管理組合」のように組合の名のつくものが結構あるというのが見えてきました。
組合って一言で言っても世の中にあれこれありますよね
でも、そもそも組合ってどういうもので、こんなにあれこれあるのだから、どれもこれも同じなの?違うの?ってだんだん頭の中のハテナマークが増えてきていますよね。
さて、そもそも、組合ってどういうものでしょう。上記のあれこれの共通点、といえば、
ある共通をもつ複数の人が集まって、出資(組合出資金、なんて大学生協に入ったことのある人は新入生の時に入らないと大学生協でノートひとつ、学食の食事も出来ない、と言われて訳もわからず500円払って組合員になった、って覚えありませんか?)を集めたり費用を分担して(昔流行った、生協の白石さんのように大学生協のスタッフさんを雇う、というのもそのひとつですね)、その共通の目標(大学生協の目的は、大学生や留学生、教職員の大学生活を充実させること、などなどがあるそうです。)を実現するための組織
という互助会のような感じ、ですよね。ただ、これだけだと、ある目的を持って事業を行って収益を求める会社だって似たようなもの、に思えますよね。とはいえ、会社の場合はある意味誰でも株主になり、その株主は会社の資本を提供するけれども、その会社の労働組合はその会社の従業員でなければなれないし、その運営資金は組合員が共同で負担する(会社と対等の立場で労働条件の交渉を出来るようにするために会社からの資金援助などは受けてはいけないのです。)みたいな縛りがあります。
ざっくりと言ってしまうと、会社は会社法と呼ばれる法律に基づいて設立されて、その出資と運営とを分離して行えるように出来るようになっている一方で、労働組合は労働組合法という法律に基づいて設立されて、前述の目的 – 労働者が会社と対等の立場で労働条件の交渉を出来るようにする – を実現すべく色々なルールに従うことになっています。
そうやって、健康保険組合から、マンションの管理組合まで、多くの組合というのは、その目的にあった法律に基づいて設立されて、会社と同じように法人として認められて契約を結んだりすることが可能になっているのです。
ファンドの世界の組合のあれこれ
ところで、ファンドの世界の組合に目を戻してみましょう。
最初に取り上げた匿名組合、これは商法に基づく組合なのですが、商売人がある事業に手をつけたいけど資金が足りない、というときに、その特定の事業に資金を出すからそこから上がった収益から分前をもらおう、という約束をした仕組みを法律の一部にした、というものです。そう見ると、大学生協や労働組合のような「互助的な」組合感がないですよね。同様に、任意組合も、民法の一部で定められている組合の仕組みで、匿名組合のように誰かに事業をさせるのに乗っかろう、というものではなく、組合に参加した組合員の共同出資・共同事業といった意味合いの強いものになっています。こう見ると、任意組合の方がより組合感が強く感じてくるのではないでしょうか。
そのおかげで、ですが、事業を行う、ということは全部が全部成功するわけではないですので、失敗したら持ち分割合で失敗の損を分け合うことになります。さらにいえば、借金をすれば全員で返す義務を負う事になります。ですので、みんなで出資額以上の借金を作ってしまったら、皆で最後まで責任を負う事になるのです。こういう出資分を超えて責任を負うことを簡単にいえば無限責任、と呼ぶのですが、事業に一緒にやって一緒に判断したなら、みんなで無限責任です、といってもまぁ仕方がないですよね。
でも、この仕組みを投資のプロが主導して投資機会を見つけて、それに投資家が出資して参加する、という仕組みにしたい、と思ったら、投資家の立場からみたら自分は投資判断に受け身なのに無限責任って割に合わない、というか怖いですよね。そこで、この任意組合の仕組みを投資の世界に持ち込めるようにしたのが、「投資事業有限責任組合法」という法律に基づく、「投資事業有限責任組合」という組合になるのです。この仕組みには、投資判断する代わりに最後まで責任を負う義務のある無限責任組合員と、出資額までの責任を負わない有限責任組合員、という二つの組合員の考え方を法律で定めている、というのが大きな特徴です。
名前は一緒、でも見た目や性格が違うのは人と同じ?
とはいえ、この投資事業有限責任組合、なんて3回繰り返したら舌を噛みそうな名前の組合、元々は国内の中小企業の事業育成などのために作られた法律で昔は中小企業等投資事業有限責任組合法に基づく組合、だったので、いまだに外国企業の株式は全体の50% 以下に制限があります。本来の目的ならばいいのですが、最近はクロスボーダーでのM&Aの案件があるなど、ベンチャーキャピタルファンドでも外国企業の株式にも投資する機会も増えていますので、そこを撤廃してほしい、なんて声が上がり、限定的に制限が外れていますが、とはいえ、最初から100% アフリカに投資したい!なんて時にはまだ使えない仕組みでもあります。
となると、つい、似ている、というか先祖の任意組合を使ってなんとかしたくなるのが人の常、というものです。特に、無限責任のところについては、組合契約は私人間の契約ですから、投資判断をする業務執行組合員が無限責任を負ってその他の事実上出資して業務執行しない組合員である投資家は有限責任を負います、なんて条項を入れれば、投資家の有限責任が出来るからなんとかなるんですよー、なんていう人も実際にいらっしゃいます。
でも。浅草と柴又のように、似て非なるものはどう頑張っても別物、なんですよね。私人間の契約だから何を同意してもいい、というのは契約の当事者の関係性の中だけのお話で、例えば有限責任特約、なんて前述の取り決めを言うのですが、任意組合でローンを組んだとき、ローンの債権者である貸した側からすれば、任意組合は「法律上」全部の組合員は無限責任組合で、組合なので共同債務ですから、組合員の誰に対して返済請求してもいいし、弁済義務がありますから一旦その組合員が全額弁済して、自分の責任負担以上のところを他の組合員に弁済を求めることで有限責任特約が機能し、もし他の組合員が失踪や支払い能力を失う等したら取りはぐれる、なんてこともあるわけです。
さらに、ちょっと脅かすように言えば、匿名組合に至っては、ただの出資と利益配分の契約に過ぎませんので、この事業への出資、といって匿名組合の営業者と呼ばれる事業を行う人に対して資金提供をしたとして、その任せた事業は営業者の名義で行われますので、匿名組合の当事者以外、その組合のことなど知る由もないですし、その事業と関係のないローンの返済に営業者が行き詰まったとしたら、ローンの債権者は匿名組合の営業者として預かった資金やその事業に関する資産などに対しても取り立てが可能です。と言うのも、匿名組合というか商法には匿名組合による出資と、営業者の保有する他の資産との間を隔てる法的な壁がないのです。そのため、営業者の自分の資産や組合Aの資産、組合Bの資産、と言うのが、営業者の帳簿の中ではきっちり管理されているかもしれませんが、営業者の債権者にとってはどれもこれも債権返済のための原資に見えるのです。
その意味で言うと、元々商業的慣習を商法や民法で定めた仕組みですから、そこに金融商品的な仕組みや縛りを入れるのは結構無理がある、と個人的には思うことが多いのです。ちなみに、オフショアで有名なケイマン諸島の有限責任組合法である Exempted Limited Partnership Actに基づく組合ですが、実はケイマン諸島の外で行われる事業の組合のための仕組み(だからケイマン諸島で税金が掛からないのです)、ですので、必ずしも投資ファンドのためだけの仕組みではないのです。そこに無理やりPrivate Fund Actみたいな法律が来るものだから。。。ってこれは前回の記事で書きましたよね。でも、これと似たようなものなのです。
ちょっとまとめてみると
ということで、組合形式のファンドというのは、国内だけでも上記のようなこともあるので、海外ファンドとなれば、その国の法律の考え方まで反映してきますから、さらに注意が必要になります。そのため、組合契約の内容もさることながら、その似て非なる、その根拠になる法律とその仕組み、というのも大事になりますので、その違いというのを投資する時に気をつけたいところになります。
とはいえ、なのです。組合員には権利だけでなく、(出資約束などの)義務もついてまわることから、弊社の運営するセカンダリーファンドに売らない限りは投資信託のように買い戻し、というのがない世界ですので、この、組合の基本的な考え方である投資事業の共同運営という意味での、運用担当する会社の信用度合いも、投資家の信用度合いもともに大事になってくる、というのは、浅草も柴又も、同じ江戸城の東側の下町、というのと同じく、似て非なると言いつつも共通のところもあるはあるのです。
おまけ
なんて書いていたら、随分とご無沙汰している、柴又出身の私の大学の先輩に当たる某氏をふと思い出して、彼のおじいさまなどは由緒正しい相撲部で、私の(妻方の)おじいさまはレスリング部を作ったって聞いているし、なんて、彼と私とで似て非なる?いやいや、先輩のダンディさとか溢れ出る文才には到底及びませんし(そもそも私は足立育ちであって浅草育ちとは言えないし、うちの家系では大学卒は私が最初だし、大学では体育会系じゃないし、格闘技系は苦手だし、彼のように海外留学・そのまま卒業してないし、もちろん海外法の弁護士資格とか持ってないし)、と思いつつ、うーむ、煎じつめるとオフショアファンドの得意な(モテない)おじさま、という意味では似たもの同士の仲良しか、と頑張るのを諦めてしまいましたとさ。
お後がよろしいようで。