2018年も日経平均が初日
【1】昨年、5%程度のプラスを想定したクレジット戦略ですが、実際には投資適格からハイイールド債にかけて幅広く好調なパフォーマンスを記録し、想定を上回る結果となりました。今年も、米国の法人減税を背景に米国社債投資からは良好なリターンが期待できます。企業の大型の借り換えサイクル到来と、米国金利上昇を背景に年後半に変動率上昇があるものの、クレジット関連投資からは一桁半ばのリターンを期待します。
【2】商品市場については、昨年の原油市場の見通しを35ドル~65ドルのレンジとしました。レンジは、想定の範囲に収まりましたが、年間を通じて高値圏での推移となりました。今年は昨年以上に物価の上振れに焦点があたりやすい可能性があり、また、市場の変動率の上昇も考えるとレンジを切り上げて55ドル~80ドルでの高値圏での推移を想定します。また、金価格も他資産の変動率上昇を背景に上昇を想定します。
【3】イールドカーブについては、2017年の米国金利は、想定どおり3回の利上げとなりましたが、自然利子率の低位推移もあり、10年国債金利は想定よりも50bpsほど低い位置となりました。日本での金利変動率も想定ほどは上がらず、落ち着いた動きとなりました。2018年4月には日銀総裁の任期到来となりますが、任期を契機とした政策変更は考えられません。一方、日銀による国債をはじめとする資産の買取りに物理的な限界が近づくため、年後半にかけての市場変動率の高まりが想定されます。
【4】エマージング国の株式市場は中国の消費関連(インターネット関連)銘柄を中心に、2017年は非常に高い上昇率となりました。火種のくすぶり続ける中国市場ですが、大きな問題が顕在化するにはまだ時間がかかるものと思われます。不動産を原因とする潜在的な不良債権の問題が取り沙汰される可能性を考え、昨年のような高いリターンは期待できませんが、通年では若干の上昇を想定します。
【5】市場ボラティリティについては、2016年に続き非常に低位での推移となりました。しかし、日、米、欧における金融政策の偏りが顕著になる年末にかけて、ボラティリティ上昇の可能性はあると考えています。年末にかけての市場変動率の上昇は、米国の金利とクレジット・スプレッドの推移次第ですが、VIXで20程度までの上昇はあるものと想定します。
【6】2017年の日本株は、想定と大幅に乖離した格好で大きく上昇し、2018年も大幅な上昇でスタートしました。今年は年央から後半にかけて波乱が起こることも想定しますが、概ね米国市場に追随して堅調な相場となると考えます。年後半にかけては金融機関の業績などが重石となる展開も考えられます。
昨年に引続き、市場全般に対して警戒心を持っている投資家が増えているものの楽観的な見通しが主流です。これまで言い続けていることですが、キャリー取引の増加(オプションの売り戦略)、レバレッジの増加、低流動性資産に対する投資の増加が同時に観測されると、数年内に市場のクラッシュが起きる傾向があります。過剰流動性相場の終焉が今年になるとは思われませんが、引続き警戒感をもって投資にあたる必要があると考えられます。
本年もなにとぞよろしくお願い申し上げます。