第254回 < 第11回 AIMA Japan Forum 開催について >
過去15年、私が運営に関わっている業界団体Alternative Investment Management Association(AIMA)の日本支部が毎年主催する、大規模な国際フォーラムが今年も開催されました。
今年は、基調講演に2年前もご登壇いただいた河野太郎国務大臣をお迎えしました。更に、日本銀行政策委員会の原田泰審議委員からもご講演をいただくという、2つの贅沢なスピーチからフォーラムを開始いたしました。今回も昨年以上の皆様にご出席を頂き、私どもがフォーラムを始めてから最多の参加人数となりました。また、ご協賛いただく企業も18社を数え、本フォーラムの認知度及び関心が高くなってきているものと感謝しております。
今年は、AIMA Japan 一般社団法人の代表理事、会長としての任期最後の年となります。これまで、皆様から様々なご支援を頂きました。本フォーラムには、AIMAの本拠地であるロンドンからCEOのJack Inglisが来日し講演しました。更に、我々と親しい組織であり、世界的に11万人以上の会員数を誇るCFA Institute(グローバル基準の証券アナリスト資格)のPresident & CEOであるPaul Smith氏や、AIMAから派生しオルタナティブ関連のアナリスト資格を付与する団体CAIAのCEOであるWilliam J. Kelly氏も来日し、ご登壇いただきました。参加者の顔ぶれを見ても、これほど海外からの参加者数の多かったフォーラムは過去に見られず、足下の景気のもたつきを考えると、意外なほど日本への関心が高いことがうかがえました。
本フォーラムの議長を行うのは4回目となりますが、意外なことにアベノミクスで盛り上がっていた2012年からの4年間で、今年が最も参加者の表情が明るいように感じました。これは、多くの資産運用ビジネスに関わる方々が、この数年にわたる市場の恩恵によって余裕を持っていることの表れのようにも感じます。あるいは、市場環境とそこでビジネスを行っている人々の景況感にはいくらかのズレがあるのかもしれません。
フォーラムは、河野大臣の流暢な英語でのスピーチと日本の構造問題に対する鋭い分析、そして構造改革に対する強いコミットメント表明から始まり、熱気のあるものとなりました。日本の金融政策は、政府と日本銀行の固い連携のもと、限界とも思えるところまで量的金融緩和を続けています。しかし、政府による規制の撤廃や財政支出、最適資本配分の理解を基盤とした企業の成長なくしては、国の財政改善や国民生活の安定は難しい状況です。その中で、金融機関や投資家が果たすべき役割について考え、フォーラムに参加していただいた様々な関係者が連携し、同じ目的に向かって進むことが必要だと感じました。
フォーラムを通じ、日本に対してこれまでにないほど世界から注目が集まっていると感じました。スピーカーからは、日本が真にグローバル化するための課題として「英語」が挙げられていました。昔から明らかな課題として取り上げられてきたにもかかわらず、大きな改善が見られませんでしたが、私は少し楽観視しています。本フォーラムはすべて英語でのスピーチになります。同時通訳に頼っていた人数は過去11回のフォーラムの中で最も少なく、日本人の英語力は徐々にではありますが、確実に向上しつつあると思われます。
毎年、フォーラムの開催には、関係者の善意による協力を仰ぎ、長時間をかけて準備しています。今回も皆様のおかげで素晴らしい会議になったと思います。来年は、AIMAの会長、そして議長という重責から離れ、フォーラムに参加することを心待ちにしています。