第230回 < AIMA JAPANのコーポレートガバナンスについての国際会議開催について >

年々時間の経過が早まっている気がしますが、今年も6月10日に例年通り、東京証券取引所と共催でAIMA JAPANのヘッジファンドフォーラムを開催しました。今回は、記念すべき10回目の開催となり、参加者も例年より多く、盛況なフォーラムとなりました。

今年の特徴としては、海外からの参加者、特にアジアからの参加者が非常に多かった点があげられると思います。投資家や市場参加者が、例年以上に日本を含むアジアを投資対象として意識していることが実感できました。また、今年は前夜に、CFA Institute(米国版証券アナリスト協会) とCAIA(米国オルタナティブ投資アナリスト協会)との共催で勉強会を開催し、こちらにも多数の方のご参加をいただきました。
今年のフォーラムの主なトピックとして、今般導入された、企業におけるコーポレートガバナンスコードと、それに先駆けて実施されたスチュワードシップコードについて取り上げました。政府、市場運営者、実務者、運用者等の様々な観点から日本版のそれぞれのコードについて議論してもらいました。安倍政権の成長戦略と足並みをそろえ、企業内に溜まった巨額の内部留保をいかに成長のための投資に振り向けるかが肝の本コードの導入となっています。実施直後のため結論付けることは早計ですが、日本企業への好影響が期待できるというのが概ねの反応でした。

しかし、運用者(投資家)及び実務者の中には少数ながら、足下の景気動向及びコーポレートガバナンスコード導入の実効性について懐疑的な議論も見られました。上場企業における社外の複数の独立取締役の導入の進捗が遅い点や、導入自体があったとしても、取締役会の牽制機能が機能しない企業が大多数を占める現状について指摘する声もありました。また、そもそも、社外取締役導入自体が企業の成長に資するか疑問視する声も見られ、様々な観点から活発な議論が行われました。更に、足下一定の成果を収めているとみられるアベノミクスですが、2020年のプライマリーバランス黒字化を達成したとしても、その先のビジョンを示しているわけではなく、国民が何らかの方針を共有している状況にない点について、日本の長期的な方向性についての課題を指摘するスピーチもありました。

例年通り、準備に3か月以上の時間を費やし、ほとんどすべての準備が一部のAIMA JAPANの会員のボランティアによって行われました。関係者の皆様に、この場をお借りして深く御礼申し上げたいと思います。多くの参加者の皆様から、たいへん温かいお言葉を頂戴し、会議の準備、本日の運営を無事終えることができ、ほっとしています。来年もよりレベルの高い議論の場を提供できるよう、引き続き努力してまいります。なにとぞよろしくお願いいたします。