第158回 < 忙中閑話 -マラソンについて- >
学生時代に何度かトライアスロンに参加したこともあり、社会人になってからも、時々フルマラソンを走っています。これまでは海外で走ることのほうが多く、ロンドンマラソンを3回、ホノルルマラソン、ブラッセル(ハーフでしたが)マラソン等のシティマラソンを走りました。特にロンドンやブラッセルのように、歴史のある街並みを見ながら走るマラソンは、景観を楽しむ余裕がさほどなかったとしても、非常に楽しいものです。ただ、最近は忙しさを理由に、ほとんど事前の練習なしに参加しており、大会のたびにタイムは落ちる、長期間疲労が抜けないという有様で、ここ数年は次第に参加すること自体が億劫になっていました。2年前には偶の練習中に椎間板ヘルニアを悪化させ、ぎっくり腰で動けない、ということもある始末でした。
2007年に最初の東京マラソンが開催されて以降も応募だけは続けていましたが、高倍率のため過去5回は落選続きでした。2012年の第6回大会の初当選の連絡が来たのが昨年10月でした。今回のマラソンは、当選することが出来たなら、久しぶりに少し時間をかけて練習をしようと考えていたこともあり、10月以降、月100km以上を目標に走ることにしました。結果的には、海外出張なども立て込んだこともあり、達成できなかった月もありましたが、早朝、夜間も活用して、なんとか2月末の東京マラソン迄には、累計で500kmくらいのランニングをすることができました。走り込みというほどではないにしても、ここ数年の運動不足を考えれば、だいぶまとまった運動量といえます。
久しぶりに、皇居周りや、家の近所を走るようになって驚いたのは、街中を走っている人の数の多さです。通勤や買い物で何気なく外を歩いているときにも、走っている人が増えたな、と感じてはいたのですが、いざ、走ってみるとランニングウェアに身を包んだ人々が、思い思いのペースで、街の様々な場所を、様々な時間帯に走っています。マラソン人口の増加をあらためて実感しました。また、10年、20年前に比べて、女性ランナーが増えていることも顕著でした。ランニングウェアやシューズのバラエティも豊富です。例えば皇居周りを走るとき、ペースの異なる他のランナーとは長くて数分、短ければ数秒しか並走しないのですが、その短時間に周囲の景色を見ることと同じように、他のランナーの格好を見ることで気が紛れます。
今回の練習中に気をつけたのは、ランニング後に必ず15分程度ストレッチの時間を取ることでした。過去、腰を痛めることが多かったので、特に股関節近辺のストレッチを入念に行なうことで、故障防止に努めました。また、なるべく間隔を空けずに走り続けることも心がけました。海外の出張先でも、ミーティング前の早朝の時間を活用するなど、3日は間を空けないようにしたことで、少しずつ落ちてきた体重が元に戻るのを防ぐことができました。このような必要最低限と思われる準備の結果、また、当日は雨も降らず、暑くも無く、マラソンのコンディションとしては理想に近いものだったこともあり、多少風邪気味ではありましたが、気持ちよく東京の街中を走ることが出来ました。
東京マラソンを走り終え、久しく感じることの無かった走ることの楽しさを思い出しました。地道なランニングがタイム向上に直結する楽しさや、季節によって異なる景色を見ることの楽しさ、走り終わった後の爽快感は格別です。会社帰りの時間を使える手頃感も手伝って、大会以降も走り続けるようになっています。何かと波乱含みの市場、運用環境が続いていますが、我々が目指している、「どんな環境下でもコツコツと走り続け」、「大きな怪我をすることなく」、「ロングランで良い結果を積み上げていく」運用は、マラソンとの類似点が多く見られます。