「色々とあった2020年」と解いて、「あけぼの投資顧問」と掛けます。そのこころは。。。
私の住む浅草の師走、と言えば、例年通りの羽子板市とはきだおれ市が行われましたが、今年ずっと繰り返すように、開催方法も人の出も、例年通りとは行きませんでした。仕方のない話ですよね。しかも「勝負の3週間」なんて言われた時期でもありましたし、外出しなかったから靴も履き潰してないし、ということで不要不急な年に一回の行事ものに足を運んで、新しい靴や厄払いの羽子板を買い求める、なんてよりも家で早めの大掃除、の方がいいですよねぇ。しかし、今年は結構家の掃除をしては、通販で買い物をしては、また掃除やものの処分を、なんてことを繰り返す一年だったように思うのはきっと私だけではないですよね。ね?
さて、年末(というか、今年も気づけばこうやって記事を書いているのが最終営業日)ともなると、どうしてもこの一年を振り返って来年をどう過ごそうか、なんて考えるのですが、この一年はどうしても「不思議な」「普段と違った」一年だった、と思わず言いたくなるような一年だったのは間違いがない、と思いつつ、毎年取りたくもない年を取る以上(笑)過去を振り返ってどの一年も同じ一年だった試しがないので、その意味ではまぁ、「いつも通り色々あった」一年だった、としておきましょうか。
あけぼの投資顧問の2020年で1番のニュースといえばもちろん
ではこの一年、当社やファンドの世界で何があったか、というのを振り返ってみたいと思いますが、どうしてもこの一年で一番大きなこと、といえば(お上品に言えば)経営統合の発表を11月にさせていただいたこと、でしょうか。この発表の前から当社とあすかアセットの役職員のほとんどが会社の統合と来年2月からの新会社としての活動開始に向けて共同で準備を進めています。新会社では、それぞれの会社の特色あるオルタナティブ投資戦略商品は継続して運用するとともに、二つの会社の特色を組み合わせた新しい試みというのも打ち出していければと考えておりますので、引き続き目の離せない会社と思っていただけるように頑張っていきたいと思います(って私だけ意気込んでもだめですね)。
ちゃんと投資活動もしていますよ。特に力を入れたのは
さて、当社の得意とするセカンダリー戦略のファンドでは、と言いますと、2015年から運用が始めて、投資期間を2018年に終了しております1号ファンドで今年も幾つもの投資回収が行われて、投資家の皆様に対しても全部とは言いませんが投資資金の一部をお返しすることができました。やはり投資の世界で大事なのは、投資先の評価が上昇していくのを眺めるのではなく、最終的に投資を回収してお返しする、ということだと実感しました。この年末も回収のための手続きをしておりますが、こういう作業の積み重ねがファンドのリターンの創造の基本だ、というのをバックオフィスを任されるものとして思うのですが。。。
とは言え、この数年(いや、10年のスパンで)世界中の様々な法令関連が厳しくなり、かつ法令遵守を強く求める傾向にある、というのを実感する一年でもありました。この回収手続きの中でも、資金が移動するということで、LP投資家や株主でもあるにも関わらず資金の移動先が資金洗浄の一部でないことを確実に確認する手続きや、税務上の報告義務を行うための税務上の身元確認作業を厳格に行うところがほぼ全てでしたので、何度となく英文での原本証明をつけた組合契約書や設立証明書、米国IRSの求めるW8フォーム、果ては個人の本人確認資料を送付しておりました。こちらとしては何度となく送っていますのでまた繰り返すかぁ、と思ってしまいますが、それぞれ別の案件ですので彼らにとっては最後の一回だから、と依頼していますし、ここをちゃんとやらないと回収資金が減りうるケースもある、というのをみましたので、事務の精度がリターンに影響するということを実感しました。
ファンドの世界も大きな動きがありました
法令が厳しくなっている、というところで今年当社の運用するファンドにも影響があったのがケイマン諸島で2月から施行されたPrivate Fund Law によるケイマン金融当局 (CIMA)に対する組合型ファンドの登録と今後の年次報告の義務、です。従来、Mutual Fund Law で日本でお馴染みのケイマン諸島籍のUnit Trust や会社型のファンドは CIMAに届出が必要とされていましたが組合型のファンドに対する届出義務などは求められていなかったのですが、他のファンド設定でよく使われる国や地域での法令との平仄を合わせる、ということでケイマン諸島でも金融当局への届出が必須となり、また、年次監査とその結果報告なども義務化された、というものです。当然、当社の運営中の二つのファンドも対応しましたが、これによって年次登録料が追加で掛かるようになり、日本でいう無限責任組合員の取締役に二人以上の自然人が必須になり、またケイマン諸島にいる監査法人による監査が必須となることから監査手続きや費用も上昇する、という費用や運営コストの上昇がつい注目されるところですが、これによりケイマン諸島籍の組合がファンド投資に使われる時のガバナンスの最低レベルが示されたとともに、ファンド設定国であるケイマン諸島の金融当局への届出による監督が行われることで、ケイマン諸島以外のファンド設定国で求めるファンドに対する最低基準と揃った、と考えることの方がより重要なポイントだとみています。と言いますのも、今回の届出内容に資金や資産の分別管理やモニタリングの方法の記載やファンド・アドミの任命について求めていることから、Exempted Limited Partnership Lawで明示のなかったファンド資産の分別管理義務などの一般的なファンドに期待する資産保全機能や、ファンド・アドミのような第三者の事務代行が資産の管理・保全に携わることでより透明性の高いファンド運営が、ケイマン諸島籍の組合型のファンド全般に対して前提としてあるものと考えることができるようになるのです。その点で言えば、日本の組合関連の法律などにはこの辺りのことは明示されていませんね。金融商品取引業者が組合持分を取り扱う際に分別管理機能があることを確認しないと取り扱えない、としているので、これでカバーしている、と言えるかどうか、(会社の意見ではなく)個人的な意見としてちょっと気になるところではあります。
また、当社の投資の一環で、ケイマン諸島の会社の取締役も複数させていただいていたのですが、そのうちの一社の清算手続きなんてことをさせて頂きました。ファンドの設定・運営については数多くやらせて頂いてきていますが、会社の清算はほぼ10年ぶりで、しかも自分が取締役をしているケースは初めてでしたので、ある意味一から学ぶつもりでこの清算手続きをさせて頂きましたが。。。まぁ、大変です。海外の清算人と連携を取りつつ、銀行口座の閉鎖や最終決算の作成などの国内から出来る手続きを行う、というのは、この新型コロナウィルスのおかげで加速したリモートワークの結果の前から、元々海外とのやりとりでファンドを設定し、運営する、という離れた複数の拠点との共同作業の延長線にあるものですのでそこはいつも通り、なのですが、前述のように10年前に比べてAML/KYC/FATCA/CRSのルールが導入され、厳格に運営されたことで手続きが増えた、というのが大変な原因なのですが。。。まぁ、無事に清算し解散できたのでよかった、とします。
当社、そういえば引っ越したのは今年でした
リモートワークの話が出ましたので、当社の今年の働く環境のこともちょっとまとめなければいけませんね。今年の1月に五反田から麹町に引っ越した、ってもう一年経つのか、と思ってしまうのですがそうなのです。新しいオフィスに移って数ヶ月経ったところでリモートワークにほぼ全ての役職員が切り替えて、気づけば、誰かはオフィスにいるかもしれないけど、日中どこで仕事をしていてもお互いにメールやチャットで連絡を取り合い意見交換しながら、必要に応じて社内はもちろん社外ともビデオ会議をして、仕事を進めていくスタイルが定着しました。もともとチームが少数で事業インフラも比較的クラウドベースで作っていたことが大きかったと思いますが、一番のチャレンジだったことは働くことを含めた生活習慣を変える、ということでした。決まった時間に電車に乗ってオフィスに来て仕事をして、ということに色々なリスクと負担を感じる社会環境の変化のあった一年でしたので、ストレスを感じずにすむ働き方や生活習慣に変えていくことでより結果を作り出せる仕事ができるようになった。。。かな?どうでしょう>当社の皆さん
個人的には、この数年遊んでいたクラウド・プラットフォームをより仕事に生かせる形で使えるようになり、引きこもったお陰でプログラムを書いて遊んだ時間が増えて、結果、色々会社が使えるものを作って満足していた、というのがこのリモートワーク化を進めた収穫、ではあります(本業にもっと時価を使って働け、という声が聞こえてきそうだ。。。)
今年も大変お世話になりました
さて、来年はどうなるでしょう。社会環境がどうなるのかはわかりませんが、それはそれとしてより良い形で対応し続けていくほかはありません。また、2月から新会社での活動が始まりますので、さらに当社のチームには投資や回収といった運用に関する大事な仕事を継続しつつ新しいチャレンジも増えていくこととなりますが、引き続き当社へのご愛顧のことよろしくお願いいたします。
みなさま、良いお年を安全にお迎えください!
おまけ
あ、我が家の第二世代の青梗菜、ここまで大きくなりました。収穫して食べるかどうか悩み続けてますが。。。