第370回 < 客観的な視点の効果 >
なかなか上達しないのが悩みの趣味のテニスですが、先日、同僚と一緒にプレイした折、アクション・カメラで撮ってくれた動画を見る機会がありました。自分の思い描いていたフォームやプレイと、実際の自分の映像との大きな乖離に愕然とすると同時に、うまくプレイできていない原因を具体的に知ることができる良い機会になりました。
フォアファンドの打点が低すぎる、サーブのテイクバックの位置が低い、フォロースルーが出来ていない、体重移動が出来ていない等、取り上げるときりがありませんが、少なくとも改善すべき点は多少なりとも見えてきます。動画を観た後では、具体的なイメージを持てる分、意図をもった練習を行うことができる気がします。
思い起こしてみると、担当教授がビデオ撮影したビジネススクールでのグループを代表してのプレゼンテーションの動画を観たとき、あまりの出来の悪さに恥ずかしくなったという思い出と同時に、具体的にどのように改善すべきかを知ることができたように記憶しています。その後、何度か繰り返してビデオを観て、その反省を活かした実践を行った結果、恥ずかしさの克服とともに、英語でのプレゼンテーションに多少の自信を持てたように思います。
私たちが仕事をしている状況を長時間撮影し、それを観ることはあまり現実的ではありません。しかし、自分たちの仕事について、客観的な視点を持った別の人の意見を聞くことはできます。私たちの場合は、顧客でもある投資家の意見は常に重要なフィードバックとなります。また、常に投資家が自分達の行動を見ている、という意識を持ち、投資家の視点から自分たちを客観視することは、仕事の規律を維持し、改善するために必要なことだと感じています。
動画を活用したテニスのプレイの改善は道半ばです。正直に言うと、改善していることの自信もまだ持てません。しかし、具体的な問題意識をもって練習に取り組める分、限られた時間の中で、これまでよりも集中してプレイが出来ているように感じます。コロナ禍で、仕事上のミーティングをビデオ会議で行う際、自分の話す姿を画面で見ながら会議を行うという、これまでとは異なる環境が一般的になりました。自らを客観的に観る機会が増えることで、仕事の質も改善できれば、と考えています。