第288回 < オリジナル・マウンテン・マラソン(OMM)に参加して(2) >
最近、ウルトラマラソンや登山に出かけて感じるのは、シニア層の元気さです。今年の5月に参加した山口の萩往還では私よりも年上の方の参加者のほうが多かったと記憶しています。しかし、本大会に関しては何しろ若い参加者が目立ちました。さすがに他の競技に比べて少し参加のハードルは高いのかもしれません。若い世代が多いせいか、こんなに薄着や軽量の荷物で大丈夫なのかな、という人たちもいましたし、夜も周りのテントから元気で楽しそうな声が聞こえてきました。私と同級生のパートナーの二人は、早々に就寝し浅い眠りをとりました。大会2日目の夜明け前、寒さで寝袋から出るのが億劫でしたが、テントを片付け、朝食をとることを考えると時間があまりありません。
テントから外に出ようと思うと、白い粉が散ってきます。テントに付着した水分が凍っています。外に出ると、靴が凍り、蓄えていた水も凍りついています。持参した携帯コンロで朝食用のお湯を沸かそうとしますが、温度が上がらずまったく沸騰してきません。手が凍えて思うように動かず、準備に想定以上の時間がかかりました。ようやくテントを畳み、食事を終えた頃にはスタート直前でした。二人は言葉少なに荷物を背負い、スタート地点に駆けつけます。落ち着く間もなく2日目の地図を手渡され早速スタートです。
2日目は前日の経験から、なるべく累積スコアが高そうなコースを考えますが、トレーニングを積んでいるパートナーと違い、情けないことに初日のダメージが足に残っている私のスピードも勘案する必要があります。結局、テント地点から一度下った後、今回最高地点まで上がって行き、最後は下り中心となるコースを考えてスタートです。しかし、思いのほか最初の幾つかのコントロール・ポイントの発見に苦労しました。また、初日以上に藪の中を掻き分けて進んだため、想定以上に時間がかかります。藪の中では、足下の岩や倒木に足をとられることが多く、幾度か転倒したこともあり想像以上に距離が稼げないことを知ります。また、スタートして1時間たっても所持していた飲料水が凍ったままで水分補給にも苦戦します。
それでも地図とコンパスを頼りになんとか幾つかのポイントを通過し、今回の最高地点まで上がっていきます。天気は最高で、富士山を望む絶景ポイントでは記念撮影を楽しむ余裕もありました。途中、小さな滝の一部が凍りついた美しい光景にも出会い、友人と盛り上がります。しかし、そのあたりから、制限時間とゴールまでの距離を考えると、時間内での走破がかなり微妙な状況になってきました。周りの速そうなチームもかなりのスピードで走り始めています。私たちも疲れた体にムチを入れて、スピードを上げます。しかし、悪路の続く下り道では思うように進みません。ついには、すぐ近くにあるはずのコントロール・ポイントに立ち寄る余裕もなく、一心不乱に走ることになりました。あと1キロは頑張ろう、と声を掛け合いながら坂を駆け下りていきます。
高度が下がるにつれて気温も上がってきますが、服を脱ぐ余裕もありません。初日のスタート地点を越え、前日登った道を下っていきます。ここからはゴール地点まで3キロ半です。舗装路に入りましたが、最後まで気が抜けません。ようやくゴールしたときは、制限時間7分前でした。振舞われる豚汁を湯気にむせながらいただきましたが、胃がビックリしているのが分かります。パートナーと健闘を称えつつ、別の友人たちと合流して温泉に向かいました。
終わってみれば、登山とトレイルランにオリエンテーリングの要素も混ざった本大会はとても楽しいものでした。コンパスを活用した地図読み等の技術を磨き、体を鍛えて再挑戦してみたいと思います。