「最近の浅草の売れ線」と掛けて、「インド」ととく。その心は。。。
私の住む浅草は、言わずと知れた観光の街。そこで土産物屋をやっていれば誰もが近所や職場に配るため、なんて言いながら袋いっぱいにおこしや人形焼を買っては観光バスに乗り込んでいったものですが、最近はあまりお土産を買って配る義理人情が薄れたか、そういう人付き合いが希釈になったのかわかりませんが、そういうお買い物は減り、免税店で化粧品や電化製品を持ちきれないくらい買っていく外国人観光客が目立って久しいです。
最近の浅草のトレンドと言えば
と言いつつ、このところの浅草で目立つのは、いわゆる「体験型消費」。老舗の名店での食事や食べ歩き(ゴミはゴミ箱にね)に留まらず、浴衣に着替えて街歩きを楽しむ(日本人、外国人問わず)観光客が増えて、そんなレンタル着物と着付け、髪結いを行うお店も増えたという印象を受けます。
さて、そんな現地のコスプレ、20円程度で体験できる、と言ったら驚きますよね。でも、出来るんです、宗教上の理由で。もちろん、日本ではなくインドの都市、バンガロールで、なのですが。
なぜインドの話なのかといえば。。。
7月の最初の週に当社と懇意にさせていただいているベンチャーキャピタルファンドさんが毎年アジアのスタートアップから上場して市場のリーディングカンパニーに成長した企業のCEOやベンチャーキャピタリスト、企業のベンチャーキャピタル投資担当者、証券会社の上場担当者、弁護士や政府のベンチャーキャピタル市場の法環境に携わる人たちなど、など、ベンチャーキャピタルのエコシステムのリーダーたちの集まるアジアリーダーズサミットというイベントを開催されていて、今年は、インドのIT企業の集積地、バンガロールが開催地に選ばれたのでした。
今年はいろいろなお付き合いの関係か、機関投資家の立場で、ということで当社にもお声がけいただいたのですが、こういうものは通常投資家の顔である社長が行く(し、多分にそれを期待されていたと思う)のですが社内の都合というか、たまには行ってこい(ついでにシンガポールに行って当社運営ファンドのアドミといろいろ話してこい)、ということで行くことになりました。
ちなみに、インドに行くのは人生初。入国時のビザの取得から現地での食事など、全く右も左もわからない状態でしたが、主催者側のきめ細やかな段取りのおかげで何とか無事にイベントの開催されるホテルにたどり着き、和気藹々とする出席者の皆さんの輪のなかに恐る恐る混ぜて頂きながら、今や活況を呈するベンチャーキャピタル市場の原動力となっている人たちの情熱とバイタリティーを最終日の遠足(笑)、そしてその後の帰国までの道中、ずっと感じさせて頂きました。
たまには投資環境の話だってしてみる(笑)
この10年間、アジアのオルタナティブ投資戦略の中心はプライベートエクイティ、未上場株式と言われて久しいのですが、ベンチャーキャピタル市場については、既に中国での投資額がアメリカに並び、アジア諸国でユニコーンが数多く生まれ、日本でもベンチャーキャピタル投資が過去最高レベルに到達しています。今後のベンチャーキャピタル投資を考えるに当たっても、経済成長率も人口増加も見込めない日本と比べると、今後の人口増加や生活水準の向上に伴う市場拡大が見込める(投資好きの人なら、ベータが取れる、というでしょうね。)国での投資というのが有望というか成功の確率の高さを期待させる中、日本からの地理的環境を踏まえて、中国の次を考えると、東南アジア諸国だけでなく、元英国領であったことから英語でのビジネスに問題がなく、既に欧米の大手企業が進出してソフトウェアの開発拠点やコールセンター業務などを移転させることで事業のノウハウの移転やビジネスを行うためのインフラの整備も既に進み、世界有数の人口とその平均年齢の若さから今後の国内需要の拡大も期待できるインドというのがその候補に入ってくるようです。
未だに幹線道路を外れれば野良牛が見られ、都市部への人口集中の影響でほぼ一日中渋滞が続き、幹線道路を走るバスはバス停でないところで乗り降りし、小型の三輪自動車がメーターの信憑性に欠けるタクシーとして走り回る風景が見られるバンガロールですが、それでもアジアのシリコンバレーと呼ばれて国内で最も綺麗な町の一つと言われ、街の中心部の高架を電車が走り、駅の周辺にはスマートフォンで予約出来るレンタル自転車が配備されて街中でその自転車が普通にあちこちで見られ、大手企業のオフィスが中心から離れた郊外のキャンパスと呼ばれる企業団地に集まり、その中に一度踏み込むと欧米のオフィスの風景と遜色のない職場環境が用意され、タクシーの代わりに(アジアでは珍しく、GoJekでも、Grabでもなく)Uberが安心して使え、昨年の後半から4Gデータ通信料金が世界で一番安くなったことで動画サービスなどの普及が一気に加速するとみられていますので、社会問題をITの力で解決する、というベンチャー企業のビジネスチャンスがたくさんある、と目の前で言われると、正にそうだ、と思わずうなずいてしまいます。
で、冒頭の謎解きでもしてみますが。。。
そんなアジアのベンチャーキャピタル投資に肩入れしたくなるような熱気の溢れるイベントの最後の日の遠足で、現地の人曰く、バンガロール最強の寺院という(まぁ、お寺で最強、ということの意味はさておき)ISKCON テンプル・バンガロールというところに行ったのですが、こちらは宗教上寺院の中を裸足で歩く一方で、膝丈のズボンやスカートを履いていると足を隠すように、と20ルピーの長い布を借りて巻きスカートのようにして寺院内を歩かねばならないそうです。これが種明かし、なのですが、この寺院、前半は輪廻転生を意識した三層の社寺をお参りしていく、あたかもボスを倒して高みにいるラスボスを目指す展開(すみません、何せゲーム会社の社長さん
数人居ましたから。。。)のような順序で参拝をしていくのですが、参拝が終わると、延々と続く公式のお土産屋やお食事処、オンラインのサイトの紹介、そして、この寺院で働かないか、という求人募集まである徹底ぶり。浅草も見習うべき。。。いやいや、これは文化というか宗教の違い、ということで。
やはり、たまには街や国を飛び出して現地を体験する、というのも大事だな、そりゃ、おみやげよりも体験型消費が増えるわけだ、とも感じてきました。最近、そんな体験、しましたか?