第223回 < 雪の中のニューヨーク出張 >
冬はローシーズンということもあり、米国出張が割安です。ホテルも比較的安く泊まれますし、飛行機代も安く取れることがあります。それだけが理由ではないのですが、冬に米国出張をする機会が多くあります。先日、3泊という短期出張でニューヨークに出かけました。出張前日には、北米に大雪警報が出ており、公共機関や交通機関がほとんどストップした状態でした。最悪の場合、出張もキャンセルしないといけないな、と思っていたのですが、幸い当日は飛行機が飛ぶことになり、無事に現地までたどり着きました。また、身を切るような寒さではありましたが、滞在中、大雪に悩まされることはありませんでした。
結局大雪警報にもかかわらず、マンハッタンでは、雪は20センチ積もった程度で、混乱はなかったようです。現地では、今回、学校や空港、電車をストップさせたのはやりすぎだったのではないかと政府を批判する人と、リスクを考えれば賢明な判断だったと評価する人が半々だったような気がします。翌日到着したときには、マンハッタンの道路は除雪が済んで、雪がきれいに脇にどけられていました。ところどころ道路と同色の黒い水たまりがあって、気づかないで踏み込むと靴やズボンの裾が汚れる以外にはたいした問題もなく、街中を移動できました。
ただ、仕事相手先への訪問で少し郊外へ出かけたときは、出発前日に慌てて買った防水スノーブーツが効果を発揮しました。ライというグリニッチの少し南に位置する街への訪問時には、駅の周りも除雪は出来ておらず、しばしスーツ姿で雪上の歩行を楽しみました。駅から3キロほど離れたオフィスを訪問し、ミーティングを行ったのですが、そこのパートナーを含め、従業員の大半は会社の近辺に住んでいるとのことでした。全米屈指の高級住宅街で知られる地域ですが、今回の雪の影響はあまり受けていないようでした。もっとも、最近は頻繁に大雨や大雪などに悩まされるとのことで、特に、昨年夏は大雨の影響で停電があり、ガスや電気が止まった結果、1週間以上にわたり、大きなテントに住んでいる気分になったと話していました。
新規の投資案件などもあり、提携先とのミーティングを中心に何かと忙しい訪問となりましたが、私はなんとなく冬の、特に雪のニューヨークが好きです。もちろん、零下10度以下の世界なので、厳しい環境で、暮らすことを考えれば大変だと思います。郊外の知り合いのお宅では、寒さのために水道管が破裂して、家の中がびしょびしょになってしまったそうです。後処理に相当苦労されていたようでした。しかし、個人的な感覚ですが、ニューヨークに限らず、シカゴなどの北米の大都市もそうなのですが、いつもの「いかつい」街並みが優しそうに見える気がするのです。なんとなく子供じみた感覚とは思うのですが、朝起きた時に家の前に雪が積もっているのを見てワクワクしてしまうのと同じかもしれません。暦の上では、立春を過ぎ、中国の春節も終わり、春が訪れました。今年も寒かった冬に別れを告げて、新しい春を迎えます。気持ちも新たに仕事に取り組んでいきたいと思います。